賃貸の敷金・礼金ゼロ円物件を徹底解析

賃貸の契約条件は物件によって様々です。その中でも比較の難しいものが敷金・礼金といった最初に支払うお金=初期費用です。賃料は多くの不動産ポータルサイトで沿線・地域別の相場コンテンツがありますが、「敷金・保証金・礼金・敷引・償却」などといった地域によって呼び方や意味合いの異なる商習慣が損得を比較しにくくしており、消費者を困らせる原因となっているようです。

物件情報のアピールポイントで良く目にするフレーズを挙げてみましょう。「敷金0円！」「1ヶ月フリーレント！」「礼金はたったの0.5ヶ月！」確かにアピール文だけ見ると他の物件よりも安くお得感を感じます。

しかし、本当にそうでしょうか？一般的に賃貸物件は2年～5年で入居者が入れ替わるといったデータがあります。初期費用が安いからといって入居から退去までの支払総額を計算してみると、案外違う結果になるかもしれません。

敷金・礼金が0円の物件を検討する際は、自分は何年間住む予定で入居から退去までの期間いくら必要なのかを一度計算してみてください。敷金礼金0円の物件で大きなメリットとなるお部屋探しの条件は、「短期で部屋を借りる必要がある場合」や「まとまった金額の支出を避けたい場合」などが挙げられます。

次に、なぜ、敷金礼金0円の条件で募集できるのでしょうか？
単に「築年数が古い・駅から遠い」などといった人気がなく空室が多いからといった理由でしょうか？
それよりも前述のように、「短期で部屋を借りる必要がある場合」や「まとまった金額の支出を避けたい場合」といった顧客ニーズが多様化しているため、それらに対応するため募集条件のバリエーションが増えたといったほうが正しいように思います。

支払総額は同じ　「いつお金を支払うか？」のタイミングの違い

要は、「いつお金を支払うか？」といったタイミングの違いと考えればわかりやすいでしょう。
引っ越してから2年間住む予定でお部屋を比較してみましょう。

A物件：家賃60,000円・共益費3,000円・敷金2ヶ月・礼金1ヶ月・退去時費用2万円
B物件：家賃63,000円・礼金6万円・退去時費用2万円
C物件：家賃65,500円・退去時費用2万円

A・B・C物件いずれも2年間の支払総額は159万2千円となり同額です。家賃も一時金も金額がバラバラなのになぜ支払総額が同じになるのでしょうか。

それは、「最初に支払うお金＝初期費用の額の違い」と「月々の支払賃料」で調整されています。

■A物件は初期費用が最も高く 243,000円

A物件の初期費用は家賃60,000+共益費3,000+敷金120,000（賃料の2ヶ月）+礼金60,000（賃料の1ヶ月）=243,000円となります。
2年間の月々の月額賃料は初期費用の賃料を差し引いて23ヶ月分=1,449,000円
退去時は敷金12万円から退去時費用2万円が差し引かれ=100,000円が戻ってきます。

結果、243,000+1,449,000-100,000=1,592,000ですね。

■B物件の初期費用 123,000円 　 退去時に20,000円かかります

B物件の初期費用は家賃63,000+礼金60,000=123,000円となります。
2年間の月々の月額賃料は初期費用の賃料を差し引いて23ヶ月分=1,449,000円
退去時は敷金を納めていないため退去時に20,000円かかります。

結果、123,000+1,449,000+20,000=1,592,000ですね。

■C物件は初期費用が最も安く 65,500円 　 退去時に2万円かかります

C物件の初期費用は敷金礼金が0円のため家賃65,500円のみで入居できます。
2年間の月々の月額賃料は初期費用の賃料を差し引いて23ヶ月分=1,506,500円
退去時は敷金を納めていないため退去時に20,000円かかります。

結果、65,500+1,506,500+20,000=1,592,000ですね。

このように、初期費用と月額賃料のバランスを調整することで敷金礼金を抑えた条件で募集が可能になるのです。物件によっては初期費用を高めにして先に支払うプラン（物件A）と初期費用を抑えて月々の賃料を高めに支払うプラン（物件C）を入居者が選ぶことができる物件もでてきています。

賢くお部屋を借りるためには初期費用や月々の支払賃料を比較するだけでなく、入居から退去までの支払総額を比較することが重要です。
ただし、退去時費用は一定ではありません。入居してからどのようにお部屋を使ってきたかで退去時費用が変わりますので、意識して部屋の状態を保ち予定外の出費にならないように心掛けて生活しておく必要があります。

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