賃貸物件では合鍵を作ることはできる?大家さんの許可は必要?

賃貸物件では合鍵を作ることはできる?

賃貸物件の合鍵

合鍵は元のカギを無くしてしまった際の予備としてや、親族や同居人に渡す際などに作ります。
大家さんや不動産業者が管理する賃貸物件では、鍵を作ることができるのでしょうか。
本記事では、賃貸物件では合鍵を作ることはできるのか、大家さんの許可は必要なのかについてご説明します。

賃貸物件では合鍵を作ることはできる?

賃貸物件で合鍵を作ることはできるのか

結論として、賃貸物件では大家さんや不動産業者の許可を得られれば合鍵を作ることができます。
大家さんや不動産業者の許可が必要な理由は下記2点です。

賃貸物件の所有者は借主ではなく、大家さんや不動産業者だから

賃貸物件の所有者は借主ではなく大家さんや不動産業者であるため、持ち主の許可を得ずに合鍵を作ることはできません。
大家さんや不動産業者には、借主に対して安全に住むことができる環境を提供する義務が課せられます。
こちらは「使用収益の義務」と呼ばれるもので、国土交通省が明記しています。
もしも借主が大家さんや不動産業者の許可を得ずに合鍵を作り、トラブルが発生すると使用収益の義務が果たせていないということになります。
そのため、合鍵を作る際は必ず大家さんや不動産業者に合鍵を作る許可を得ましょう。

防犯性の懸念

複数の鍵が存在すると、防犯性が下がります。
たとえばひとつの鍵が盗まれると、その鍵を使用した不法侵入の被害に遭ったり、盗聴器や盗撮器を設置されたりする可能性があります。
不法侵入の被害に遭った物件は資産価値が下がるため、次の入居者がなかなか決まらなくなる可能性があります。
自分が所有する物品の盗難や個人情報を取られないだけではなく、物件の価値を下げないためにも合鍵を作る際は注意しましょう。

鍵の種類

鍵の種類

こちらでは、賃貸物件に設置されている鍵の種類をご紹介します。

ディスクシリンダー

ディスクシリンダーとは鍵穴が「く」の字になっており、鍵の形状がギザギザとしている鍵の種類のことを指します。
鍵穴が掘られた内筒に設置された複数個のタンブラーが一定の位置に動き、鍵を回転させることで開錠ができる構造を持ちます。
1950年代から生産が始まったディスクシリンダーは、一戸建てやアパート、マンションといった集合住宅などさまざまな住宅に採用されています。
ディスクシリンダーのメリットは低コストで製造することができる点と、不具合が起きた際には鍵屋さんで簡単に修理をすることができる点です。
ディスクシリンダーの注意点として、ピッキング被害に遭いやすい点が挙げられます。
シンプルな構造を持つディスクシリンダーは、金属棒などの器具でピッキングされやすい傾向にあるため、こちらの鍵を使用している物件には注意が必要です。

ピンタンブラー

ピンタンブラーは鍵本体の片側だけがギザギザとしている種類の鍵です。
一般的にピンタンブラーはロッカーや机の引き出しに使用されますが、一部築年数が古いアパートなどにも採用されています。
ピンタンブラーもディスクシリンダーと同様に、安価で製造できる点や簡単に修理ができる点がメリットです。
注意点もディスクシリンダーと同様で、ピッキング被害に遭いやすい点が挙げられます。

ディンプルシリンダー

鍵本体の側面はなめらかで、表面に複数の丸いデコボコを持つ形状の鍵です。
シリンダーの形状は先述したディスクシリンダーやピンタンブラーよりも複雑なため、ピッキング被害に遭いにくい点がメリットです。
一方デメリットとしては鍵を製造する際に多くの作業を要するため、費用が高額になる傾向にある点です。
ディンプルシリンダーの合鍵は「純正キー」と「複製キー」に分けられます。
純正キーは元の鍵のメーカーが作った合鍵のことを指し、複製キーは街中やホームセンターに店を構える鍵屋さんが作ったものを指します。
どちらも開錠することに問題はないですが、純正キーの方が元の鍵に近いものを作ることができますが、その分価格も高くなる傾向にあります。

カードキー

先述したディスクシリンダーやピンタンブラー、ディンプルシリンダーとは異なり、デコボコした鍵を使用せずにカードを使用して開錠する鍵の種類です。
ビジネスホテルなどに設置されていることが多いカードキーですが、近年では賃貸物件でも見受けられるようになりました。
カードキーの特徴として、鍵屋さんでは合鍵を作れない点が挙げられます。
合鍵が必要な場合は大家さんや管理会社に作成を依頼し、手元に合鍵が届くまでの納期は10日程度となります。
そのため、カードキーの合鍵が必要な場合は余裕をもって連絡をしておきましょう。
また、カードキーはほかの鍵と比べると薄いため、財布やカードケースの中に入れておくことで保管場所を取らなかったり紛失の可能性を下げられたりといった点も特徴です。

スマートロック

ICカードやスマートフォンなどを用いて開錠・施錠を行う鍵の形式です。
スマートロックの特徴としてはICカードやスマートフォンさえあれば鍵が不要な点や、遠隔操作で開錠・施錠ができる点が挙げられます。
また、近年では指紋や顔といった、生体認証のものも普及しだしています。
スマートロックは性質上、合鍵が不要な形式の鍵であると言えます。
注意点としては、自室内に鍵となるICカードやスマートフォンを置き忘れると締め出されてしまう点が挙げられます。

合鍵を作る際の注意点

合鍵を作る際の注意点

こちらでは、合鍵を作る際の注意点をご説明します。

元の鍵で作製する

合鍵を作る際は、必ず元の鍵を使用しましょう。
合鍵は元の鍵と比較すると若干形が異なるため、もしも合鍵から合鍵を作った場合に開錠できない可能性があります。
そのような理由から、鍵屋さんでは合鍵から合鍵を作ることを断る傾向にあります。

身分証明書が必要な場合がある

合鍵を製造する際には、身分証明書の提示を求められることがあります。
特に防犯性能が高いディンプルシリンダーなどは、身分証明書が必要な場合が多い傾向にあります。
そのため、合鍵を作ってもらう際は元の鍵と身分証明書を持参しましょう。

退去時に返却する

合鍵を作る際には、退去時に元の鍵とあわせて返さなければならない点も覚えておきましょう。
賃貸住宅の所有者は大家さんや不動産業者であるため、借主の費用で作った合鍵も元の所有者のものになります。
もしも合鍵の返却に応じなかった場合、鍵の交換費用を請求されることがあります。

合鍵を紛失した場合

合鍵を紛失した場合

元の鍵同様に、合鍵は自室の鍵を開けることができるため、合鍵の紛失は防犯性能が下がっている状態であると言えます。
合鍵を紛失した場合、まずは大家さんや不動産業者に連絡を入れましょう。
状況次第ではマスターキーを使用して開錠してくれることもあります。
また、道端に落としていたり誰かが届けていたりすることもあるため、警察に遺失物届も提出しておきましょう。
急ぎの場合は鍵業者に依頼して開錠・施錠を依頼することもありますが、その際も事前に大家さんや不動産業者へ連絡しておかなければ契約違反に該当する可能性があります。

おわりに

本記事では賃貸物件における合鍵の作り方などをご紹介しました。
合鍵を作る際や紛失した際は、大家さんや管理会社にその旨を伝えなければなりません。
もしも勝手に合鍵を作ってしまうと、防犯性能が下がってしまうだけではなく契約違反に該当する可能性があります。
合鍵、元の鍵ともに、取り扱いには注意しましょう。

出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/common/001017685.pdf)