目次
賃貸マンションにおける名義変更の方法
賃貸マンションで入居者が増えたり、変更になったりする場合は名義変更を行う必要があります。
借り主の名義を変更するにはどのようにすれば良いのか、変更の際にはどのようなポイントに注意をしなければならないのでしょうか。
本記事では、賃貸マンションにおける名義変更の方法や注意点をご説明します。
名義変更とは?
部屋を借りる際には、利用者を指す借主と大家さんや不動産業者を指す貸主で賃貸借契約を交わします。
その賃貸借契約書に記載した契約者の名前を変更することを名義変更と言います。
名義変更は個人から個人へ、法人から法人へ、法人から個人へ借主を変更する際に必要です。
また、場合によっては名義変更ができないケースもあるため、詳しく見ていきましょう。
賃貸物件で名義変更が必要なケース
下記、賃貸物件で名義変更が必要なケースです。
個人から個人
結婚により姓が変わった場合
契約者本人は同一人物でも、結婚により姓が変わった場合は名義変更が必要です。
手続きをせずに同一の物件に住み続けた場合、契約者と入居者の名前が一致しないと見なされ、契約違反となることがあります。
転職した場合
名義人が転職した際、支払い能力などを明確にするために大家さんや不動産会社によっては、現在の契約を終わらせてから新規契約という形式で名義変更が必要となります。
自分で家賃を支払う場合
大学などで一人暮らしをする際は、一般的には入居者の両親が名義人となります。
しかし、入居者が就職して自分で家賃を支払うことになった際には、両親から入居者へ名義変更を行う必要があります。
複数人で入居しており、別の人に変更したい場合
シェアハウスなど、複数人で入居をしている際に、名義人が引っ越すことになった場合などはそのほかの入居者へ名義変更を行う必要があります。
名義人が亡くなったときや離別したとき
夫婦で入居しており、名義人が無くなったり離婚したりすることで不在となった際に、残された方が引き続き入居をする場合は名義変更が必要となります。
残された方に名義変更をする場合、元の名義人の契約を解約した後に再度賃貸借契約を締結する必要があります。
しかし、大家さんや管理会社によってはそのあたりが配慮され、敷金や礼金などを抑えられることもあります。
法人から法人
法人から法人へ名義変更を行う場合のひとつとして、法人の名称が変更となった場合が挙げられます。
契約者本人は同一人物ですが、法人の名称が変更となった場合は旧法人名から新法人名への名義変更が必要となります。
法人から個人
法人から個人へと名義変更を行うケースとしては、借り上げの社宅で暮らしていたが、転職や倒産により法人が変更となっても、引き続きその物件に住み続けたい場合は法人から個人へ名義変更を行う必要があります。
また、家賃補助を受ける際にも名義変更が必要です。
ほとんどの会社では契約者の名義と家賃補助を受ける社員が一致している必要があるため、名義人以外が家賃補助を受けることができません。
そのため、夫名義の賃貸物件で妻の会社から家賃補助を受け取るためには、妻の名義に変更する必要があります。
賃貸物件で名義変更ができないケース
結論として、一人暮らし用の物件に単身で住んでいる場合は名義変更ができないことが多いです。
これは契約者=入居者という前提で賃貸借契約を締結していることが要因となっており、名義変更を行いたい場合は現在の賃貸借契約を解約し、新たに再契約という形で締結し直す必要があります。
再契約の際には、敷金や礼金、火災保険料など初期費用が必要となる点には注意が必要です。
賃貸物件で名義変更を行わなかった場合
賃貸物件で名義変更が必要なケースに該当するにもかかわらず、名義変更を行わなかった場合は違約金の支払いや強制退去を求められることがあります。
これは賃貸借契約を締結できなかった方に代わって名義を貸す、いわゆる「名義貸し」になります。
名義貸しは詐欺罪に該当する可能性があると刑法246条に明記されており、借主だけではなく名義を貸した人も共犯者やほう助犯として成立する場合があります。
そのため、他人の名義を借りることはできず、頼まれても断らなければならないことを理解しておきましょう。
賃貸物件で名義変更を行う際の注意点
こちらでは、賃貸物件で名義変更を行う際の注意点をご紹介します。
名義変更には手数料がかかる
賃貸物件で名義変更を行う際には、家賃の0.5~1ヶ月分や、あらかじめ定められた数万円程度の手数料が必要です。
必要となる手数料は不動産業者や大家さんにより異なるため、名義変更前に確認しておきましょう。
再審査が必要な場合がある
名義変更を行う際には、契約書の名前を変更するだけではなく、審査書類も提出して再度入居審査が必要な場合もあります。
入居審査は家賃の支払い能力を判断するために行われるもので、本来は新規の入居者に対して行われますが、これまでに家賃の未払いなどがあった場合は再度審査を受けるように伝えられることもあります。
また、審査に通過した場合でも敷金や礼金などの初期費用が必要な場合もあり、通過しなかった場合はその物件を退去しなければなりません。
身分証などの書類が必要
名義変更の際には、下記のように賃貸借契約を締結する際に必要な書類を用意しておきましょう。
● 身分証明書
● 住民票の写し
● 収入証明書(源泉徴収票、給与明細、課税証明書など)
● 在籍証明書
● 通帳
● 印鑑
また、連帯保証人を求められることがあります。
賃貸物件で名義変更の手続きの流れ
こちらでは、賃貸物件で名義変更の手続きの流れを名義変更のみの場合と、再契約・新規契約に分けてご紹介します。
名義変更のみの場合
1. 大家さんや管理会社に名義変更をしたい旨を伝えます。
2. 身分証や住民票の写しなど、名義変更に必要なものを確認したうえでそろえます。
3. 大家さんや管理会社から指定された手数料を支払います。
再契約・新規契約を行う場合
1. 大家さんや管理会社に名義変更をしたい旨を伝えます。
2. 現在賃貸借契約を締結している方の解約手続きを行います。
3. 新たな入居者の支払い能力などを審査します。
4. 賃貸借契約を締結します。
5. 敷金や礼金が必要な場合は支払いを済ませます。
シーンごとに見る名義変更の形式まとめ
こちらでは、シーンごとに名義変更の形式をまとめてご紹介します。
シーン | 契約変更の形式 |
---|---|
姓が変わった | 名義変更のみ |
転職した | 再契約・新規契約 |
自分で家賃を支払う | 再契約・新規契約 |
複数人で入居している際、名義人を変更したい | 再契約・新規契約 |
名義人の逝去・離別 | 再契約・新規契約 |
社名の変更 | 名義変更のみ |
借り上げの住宅に住み続ける | 再契約・新規契約 |
家賃補助を受ける | 名義変更のみ |
このように、名義変更だけではなく新規で契約を行う必要があるケースもあります。
そのため、名義変更を行う際にはどのような流れで進めるべきなのかが分からない場合は、事前に大家さんや不動産業者に相談しておきましょう。
おわりに
本記事では、賃貸マンションにおける名義変更についてご紹介しました。
賃貸マンションの名義変更が必要なケースは結婚により姓が変わったときや、転職により勤務先が変わった場合などが挙げられます。
名義変更が必要なケースにもかかわらず、手続きを行わなかった場合は違約金の支払いや強制退去を求められる可能性があります。
「この場合は名義変更が必要なのだろうか」と不安を持った方は、大家さんや管理会社に確認してみましょう。