目次
鉄骨造の防音性はどのくらいなの?音漏れ
新生活を始めるにあたり、近隣住民とのトラブルはできる限り避けたいものです。
特に騒音についてはトラブルになりやすく、気を付けていたつもりがついつい大きな音を立ててしまうこともあります。
騒音を防ぐためには、建物の構造に関する理解を深めておくことが重要です。
本記事では、鉄骨造の防音性について解説します。
建物の構造について
建物の構造は、「木造」「鉄筋コンクリート増」「軽量鉄骨造」「重量鉄骨造」の4つにわけられます。
木造
木造とは、柱や梁といった建物の主要部分を木材で作った建物を指します。
ほかの建物の構造よりも工期が短く、建築コストや家賃を抑えられている物件が多い点が特徴です。
また、木造の建物は通気性が良く、適度に湿度を保つことができるため快適に過ごすことができます。
鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造とは、鉄筋とコンクリートを使用する構造を指し、高い耐久性を持つといった特徴があります。
そのため、一般的な住宅だけではなく、ビルやマンションといった中・高層の建物にも使われます。
鉄筋コンクリート造の中には、鉄筋とコンクリートを使用した「RC(鉄筋コンクリート)造」と、その中に鉄骨を使用した「SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造」が含まれます。
鉄筋コンクリート造はほかの構造よりも建築コストが高く、またRC造よりもSRC造の方が高い建築コストとなるため、家賃も高くなる傾向にあります。
軽量鉄骨造
鉄骨造に含まれる軽量鉄骨造は、骨組みに使用する鋼材の厚さが6mm未満のものを指します。
軽量鉄骨造は、工場で大量生産された建材を現場で組み立てる「プレハブ工法」によって建てられることが一般的です。
使用する鋼材が薄いため、耐震性を上げるために柱と梁を固定する「プレース(トラス)構造」が取り入れられます。
重量鉄骨造
重量鉄骨造も鉄骨造のひとつであり、こちらは骨組みに使用する鋼材の厚さが6mm以上のものを指します。
鋼材が厚くて耐久力が高いため、一般的な住宅だけではなくホームセンターや体育館といった大型の建物にも取り入れられている構造です。
また、ひとつひとつの鋼材が強く複雑な加工が不要なため、シンプルなデザインの建物が多い点も特徴です。
下記、建物の構造別にメリットとデメリットをまとめたものです。
建築構造 | メリット | デメリット |
---|---|---|
木造 | 通気性が高く、湿度を保つことができる 安い家賃の物件が多い |
シロアリなどの害虫問題が起きやすい |
鉄筋コンクリート造 | 高い断熱性を持つ 機密性が高い 耐火・耐震性能が高い |
家賃が高額になりがち 湿気がこもりやすい |
軽量鉄骨造 | 安い家賃の物件が多い 結露が起きにくい |
間取りの自由度が少ない 夏は暑く・冬は寒くなりやすい 耐火性が低い |
重量鉄骨造 | 大きな荷重に耐えることができる 結露が起きにくい |
鉄筋コンクリートよりも遮音性・防音性は低い 建築コスト・家賃が高い |
鉄骨造の防音性
結論として、鉄骨造の物件が持つ防音性は木造よりも高く、鉄筋コンクリート造よりも低いものが多いです。
防音性を表す指標には、「L値」というものがあります。
こちらは音の伝わりにくさを表したもので、数値が小さいほど音が聞こえにくくなります。
マンションにおいて上の階で発生した床から発せられた音が、下の階にどの程度聞こえたかを示すものでもあります。
鉄骨造においては重量鉄骨造がL-60、軽量鉄骨造がL-65程度だと言われています。
下記、音別のL値です。
値 | 落下音 イスの移動音 |
人の歩行音 着地音 |
---|---|---|
40 | ほとんど聞こえない | ほとんど聞こえない |
45 | 少し聞こえる | ほとんど聞こえない |
50 | 聞こえる | 少し聞こえる |
55 | 発生音が気になる | 聞こえる |
60 | 発生音がかなり気になる | よく聞こえる |
65 | うるさく感じる | 発生音がかなり気になる |
70 | かなりうるさく感じる | 鉄うるさく感じる |
75 | 大変うるさく感じる | かなりうるさく感じる |
80 | 大変迷惑 | 大変迷惑 |
なお、L値は下地となっているコンクリートスラブ(コンクリートの厚さ)によって変わり、一般的なL値はコンクリートスラブ:150mmのものが使われています。
また、L値が高い物件だからと言って大きな音を立てて良いわけではなく、下の階の住人への配慮は必要です。
騒音トラブルになりにくい部屋の選び方
こちらでは、騒音トラブルになりにくい部屋の選び方をご紹介します。
1階・下の階が店舗の物件
騒音トラブルにおいては、下の住人からのクレームで発展することを耳にしたことがある方も多いことでしょう。
1階の物件の場合、下の階に住人がいないため、ものを落としたり歩く音がしたりといったことが原因となるトラブルの発生は少なくなります。
また、下のフロアが店舗になっている物件も騒音トラブルになりにくい傾向にあります。
一般的に店舗の方が大きな音を発するため、自分が入居している部屋の音をかき消してくれることが要因のひとつです。
その場合は、自室に騒音が入らないように後述する防音対策を十分に行いましょう。
角部屋
角部屋は隣接する部屋が1つ少ないため、床と部屋がある方の壁に対して注意をすれば良いため、騒音トラブルに対する心理的負担を少し軽減することができます。
壁面については本棚など大型家具を設置することで防音性を上げることができます。
賃貸物件でもできる防音対策
こちらでは、賃貸物件でもできる防音対策をご紹介します。
下の階への対策
下の階に対して注意が必要なのは、ものを落とした時の落下音やイスや机を引きずったときに発せられる音、人や動物が歩いた時の音です。
そのため、下記のものを用意することで下の階への防音対策を行うことができます。
● 防音マット
● カーペット
● スリッパ
● テーブルやイスに貼るフェルト
● 洗濯機や冷蔵庫といった大型家電の下に敷く防振マット
隣の部屋への対策
隣の部屋に対しては、電話やテレビといった日常生活で発せられる音に対して注意をしなければならず、そのためには下記のような道具を使用するだけではなく、家具の配置などにも工夫をしなければなりません。
● 防音・吸音・遮音シートを壁に貼る
● 大型家具を設置す
● テレビやオーディオを壁から離す
大型家具の中には本棚も含まれますが、本を隙間なく収納することでより高い防音性能を発揮することができます。
屋外への対策
屋外への騒音対策については、屋外から室内に入り込む音を防ぐことも同じ対策となります。
具体的には、下記の方法で防音対策を行うことができます。
● ドアや窓の隙間にテープを張る
● 防音カーテンを取り付ける
騒音が気になる人におすすめの物件
ここまでは、自分が発する音によって近隣住民に迷惑をかけないことについてご説明しましたが、ほかの部屋からの騒音が気になる方もいることでしょう。
そのような方は、先述した角部屋だけではなく、最上階の物件を借りることもおすすめです。
最上階の物件は上の階に住人がいないため、歩行音や落下音といった騒音に悩まされることがありません。
そのうえで角部屋を選ぶことにより、片方の部屋からの騒音対策をすれば済むため、騒音が気になる方におすすめの物件であると言えます。
おわりに
本記事では鉄骨造の防音性についてご説明しました。
鉄骨造は木造よりも高く、鉄筋コンクリート造の建物よりも低い防音性を持ちます。
下記、近隣住民への騒音が気になる方におすすめの間取りです。
● 1階・下の階が店舗の物件
● 角部屋
しかし、いくら高い防音性能を持つ物件でも、近隣住民への騒音を配慮して生活しなければなりません。
防音対策をしっかりと行って、自他ともに住みやすい環境を構築しましょう。