賃貸物件が日焼けした場合の原状回復や対策について解説

賃貸物件が日焼けした場合の原状回復や対策

賃貸物件が日焼けした場合

賃貸物件の退去時には、入居時と同様の状態に戻すための「原状回復」を行う必要があります。
日常生活において、壁紙や床の日焼けはどうしても発生してしまいますが、これらを修繕する際には原状回復の費用が発生するのでしょうか。
本記事では、賃貸物件が日焼けした場合の原状回復や、壁紙や床の日焼け対策について解説します。

日焼けの原因

日焼けの原因

壁紙や床が日焼けしてしまう原因は、直射日光にさらされることが挙げられます。
南向きや西向きといった日当たりの良い部屋の場合、日中の直射日光が部屋の中まで入るため、色あせや変色といったことが起こりやすくなります。
壁紙の場合は入居当初よりも黄ばんでいたり、床の場合は色が薄くなったりする変化が起きます。
そのため、家具の配置換えの際、設置していた場所がほかの場所と色味が異なっていた、という場合は日光にさらされている場所が日焼けしている、ということになります。
壁紙や床の日焼けは紫外線による化学反応が原因であるため、紫外線防止の機能が弱いカーテンを使用していると日光から降り注ぐ紫外線がカーテンを通過してしまい、日焼けを起こしてしまいます。

賃貸物件が日焼けした場合の原状回復

日焼けした場合の原状回復

日焼けによる壁紙や床の変色は日常生活を送るうえで起きてしまう、「経年劣化」に含まれます。
「経年劣化」とは、時間の経過に伴って生じる建物や施設の劣化を指すもので、法務省によって下記のように定義されています。
● 家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡
● テレビ、冷蔵庫などの後部壁面の黒ずみ(いわゆる電気焼け)
● 地震で破損したガラス
● 破損、紛失以外のカギの取替え

これらに該当する場合は、原状回復による費用の請求はなく、大家さんや不動産業者など管理会社の負担となります。

原状回復の費用が求められる場合

下記のケースは原状回復の費用が求められます。
● 引っ越し作業で生じたひっかきキズ
● 日常の不適切な手入れ、もしくは用法違反による設備などの毀損
● タバコのヤニやニオイ
● ペットが付けた柱のキズやニオイ

一般的に原状回復の費用は敷金から充当されますが、それでも不足している場合は別途請求されます。

原状回復に関する法改正

2020年4月に、法務省より賃貸借契約に関する民法のルールが改変される旨のアナウンスがありました。
改変前の民法では、原状回復だけではなく費用の負担といった責任の所在が不明確であるため、借主と貸主の間でしばしば問題となっていました。
たとえば、借主の部屋に備え付けられているエアコンが故障した際に、貸主に修理を依頼しましたが、なかなか応じてくれなかった場合、改正前では借主が修理を行うことができないとされていました。
貸主の許可なく勝手に修理を行った場合、注意やペナルティを受けることもありました。
改正後は明確に下記のように定められたため、借主が責任を追及されることはなくなりました。
① 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知したか、又は賃貸人がその旨を知ったのに、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき
② 急迫の事情があるときには、賃借人が目的物を修繕することができること

また、法改正によって上限額が設定されていない保証契約は無効となることも含まれているため、借主を保証するような内容となっています。

賃貸物件が日焼けしないための対策

日焼けしないための対策

こちらでは、賃貸物件が日焼けしないための対策をご紹介します。

遮光カーテンやUVカーテンを取り付ける

遮光カーテンやUVカーテンといった、紫外線や日光をさえぎるものを設置することで壁紙や床などの日焼けを防ぐことができます。
ブラインドの場合、羽根を上に広げることで直射日光をさえぎりながら、室内に光を送ることができます。

窓ガラスにUVカットフィルムを貼り付ける

UVカットフィルムは、日光に含まれる紫外線をさえぎるフィルムです。
主な目的は室内の日焼けを防ぐことですが、災害時にガラスが割れた場合でも周囲への飛散を防ぐ効果もあります。

ラグマットやカーペットを敷く

床の日焼けが気になる方は、ラグマットやカーペットを敷いておきましょう。
ラグマットやカーペットは日焼けを防ぐだけではなく、家具の落下などによる床のキズを防ぐ、足音を防ぐ防音機能も持っているため、近隣住民との騒音トラブルなどを防ぐことができるといった効果もあります。

退去時の費用を抑えるためのポイント

退去時の費用を抑えるため

先述の通り、日焼けによる色の変化は経年変化であるため、借主が費用を負担する必要はありません。
しかし、賃貸物件から退去する際には退去費用を支払わなければならないことが多くあります。
こちらでは、退去時の費用を抑えるためのポイントをご紹介します。

内覧時や入居時に部屋のキズを確認しておく

入居する物件によっては十分な原状回復が行われておらず、壁や床にキズが付いている場合があり、退去時に原状回復が求められる可能性があります。
そのため、内覧時や入居時には部屋にキズが無いか確認しておきましょう。
チェックの際には平面図を用意してキズや不具合がある場所をチェックしておいたり、カメラで撮影をしたりして証拠となるものを用意しておきましょう。

室内での喫煙を控える

先述の通り、法務省のガイドラインによってタバコのヤニやニオイは原状回復が求められます。
一度壁や床に付着したタバコのヤニやニオイは取れにくく、費用を支払ってクリーニング業者に依頼する必要があります。
なお、「換気扇の下で喫煙をすれば抑えられるのでは?」と考えられる方もいらっしゃいますが、タバコのヤニとニオイは室内に広がってしまうため、大した効果はありません。

水回りやエアコンといった、設備の不良

キッチンやバスルームといった水回りや、エアコンなどの備え付けられている家電は、日常生活で使用したうえで故障した場合は大家さんの負担で修理を行います。
しかし、メンテナンス不足によって故障してしまった場合は借主の負担での修理となります。
たとえば、エアコンのフィルター掃除や水回りに発生するカビの除去などがメンテナンスとなります。
退去時の費用を抑えるためには、定期的な手入れや掃除を行うことが大切です。

敷金が0円の物件を避ける

原状回復に必要となる費用は、敷金から充当される旨を先ほどご説明いたしました。
そのため、敷金が0円の物件に入居した場合に原状回復が求められた場合、借主が全額負担をする必要があります。
入居時に費用をおさえている方は、退去時に必要となる費用を貯めておきましょう。

契約書に目を通す

物件によっては原状回復の範囲を超えて、特約で借主が費用を負担しなければならない旨が記載されている場合があります。
特約となる負担には、ハウスクリーニングや畳交換などが含まれており、これらは一般的な賃貸物件では貸主が負担するものです。
少しでも負担する費用を抑えたい場合は、しっかりと契約書に目を通すことも重要です。

おわりに

本記事では、賃貸物件が日焼けした場合の原状回復や対策について解説しました。
原状回復は退去時に入居時と同じ状態になるように物件を修復することを指し、日光などによる日焼けは原状回復には含まれません。
できるだけ日焼けによる変色などをおさえたいという方は、下記の対策を実践しましょう。
● 遮光カーテンやUVカーテンを取り付ける
● 窓ガラスにUVカットフィルムを貼り付ける
● ラグマットやカーペットを敷く

出典:法務省ホームページ(https://www.moj.go.jp/content/001289628.pdf)

著者情報

賃貸住宅サービス

賃貸住宅サービス住まいのお役立ち情報編集部 株式会社グラート

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