
狙われやすい物件とは侵入犯が仕事をしやすい(=人目につきにくい)環境に、(結果的に)侵入が容易にできるような設計で建っている物件。部屋探しにあたって、以下のような物件はできれば避けたいところだ。
- 隣家(棟)との距離があまりない住環境
- 隣家(棟)との間隔が狭いと、側面(道路に面していない側)に設置された開口部(窓、出入口、換気口など)への周囲からの監視性が低くなる。 また、そのような場所は物が煩雑に置かれる場合も多く、住環境の手入れが行き届いていない=だらしない、といった印象も外部に与えがち。 それにとどまらず、隣との間隔が狭い物件は外階段、廊下、雨どい、塀などを足場にして侵入される危険性も高い。
- 空家や留守の家が多い住環境
- 周辺全体の監視性が低くなり、特に空き家や留守の家に隣接する住宅は、それらに面した開口部から侵入される恐れがある。
- 周辺に公園・緑地・寺社の境内・駐車場・空き地などのオープンスペースが広がる住環境
- 犯罪を企てる者は上記オープンスペースを下見や侵入経路に利用する可能性がある。
- 「見通しの悪い高い堀が連続する通り」、「沿道の住宅からあまり目の届かない通り」、「違法駐車の多い通り」に面した住環境
- 犯罪を企てる者が身を隠しやすく、また、不審者がいても怪しまれにくいため、危険性が増す。
- 周囲と高低差のある敷地
- 斜面に建つ住宅は、前面道路や周囲の住宅からの監視性が低い場合が多い。高低差により、塀や柵に侵入しやすい部分が生じる場合は特に注意が必要。
一戸建て、低層共同住宅では窓が、
高層共同住宅では窓、表出入口とも狙われている!

上のグラフを見てほしい。一戸建て、共同住宅・3階建以下、同・4階建以上の侵入口の内訳をそれぞれ示しています。
特徴的なのは、一戸建て、共同住宅・3階建以下では窓がもっとも多く狙われ、ガラス破りによって侵入されているという点だ。
窓に次いで狙われるのが表出入口、つまり玄関だ。窓からの侵入が難しくなる4階建て以上の共同住宅では全体のほぼ半分を占めている。
すぐできる防犯対策とは?
現在住んでいる部屋の窓ガラスが通常のものであれば、
- ●市販の防犯窓用フィルムを張って強化する
- ●窓用の補助鍵を用いる
侵入を企てる者にとって、時間を費やすのは絶対に避けたいところ。右の円グラフのように2分以内で半数以上が、5分以内に4分の3強が犯行を諦めている。
ピッキングやサムターン回しへの対策としては
- ●補助鍵やドア用鍵カバー、サムターンカバー
などの使用 - ●現行の鍵を防犯機能の高いものに取り替える
※ただし、貸主の了解が必要。さらに退去時に現状復帰の義務が生じる場合もあるので、斡旋した不動産店等に要相談。

また、「施錠せずに侵入されている」という原因も多くあげられている。これは、100%本人が気をつけていれば防げること。防犯意識をしっかりと持ちたい。
- ●長期に留守にする場合は、新聞・郵便をとめる。
『留守なので配達しないでください』の貼り紙をしない - ●旅行などで長期に留守にする場合は、雨戸やカーテンを閉めっぱなしにしない。薄手のカーテンが最適
- ●留守電話のメッセージで『留守』と言わない。
- ●転送サービスを利用する
- ●長期に留守にする場合は、新聞・郵便をとめる。『留守なので配達しないでください』の貼り紙をしない
- ●旅行などで長期に留守にする場合は、雨戸やカーテンを閉めっぱなしにしない。薄手のカーテンが最適
- ●留守電話のメッセージで『留守』と言わない。
- ●転送サービスを利用する
以上のことを心がけると有効です。 そして、隣近所とのつきあいも大事にしておきたいですね。

共同住宅のケース
敷地境界・ 建物共同出入口 |
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玄関 |
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ベランダ |
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屋上・非常階段 |
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戸建住宅のケース
1階の窓 |
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囲障(堀や柵など) |
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玄関・勝手口 |
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2階の窓・ ベランダ |
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進む防犯モデルマンションの建設
防犯機能への関心の高まりに呼応して「防犯モデルマンション」の建設が増加傾向にある。
同マンションは、各地の防犯協会連合会が設けた防犯基準に基づき、防犯設備士らでつくる審査委員会が審査。登録証が交付されたもので、1999年に広島県で制度が始まり、現在、東京都や京都府など、8都道府県が導入している。なかでも大阪府は登録数が197棟(05年9月15日現在)と全国最多(申請数では同日で298棟。内訳は分譲238棟、賃貸60棟)となっている。
- 大阪府の
防犯モデルマンション基準 -
- ●玄関にオートロック設置
- ●ピッキングに強い鍵の採用
- ●エレベーター防犯カメラのモニターをホールに置いて多くの住人が監視できるようにする
- ●ハンマーで叩いても破壊されない強化窓ガラスの設置
- ●警備会社などと直結する非常通報装置の各戸設置
などを基準にしている。
大阪府は犯罪発生件数で、都道府県レベルで見ても毎年最悪の数値を示しているが、防犯モデルマンションに限っては05年の被害はゼロ(01年に制度導入されて以来3棟)。
今後ともニーズは高まっていくものと推測されている。