事務所可の賃貸物件に関するルールや物件探しのコツをご紹介

事務所可の賃貸物件に関するルール

事務所可の賃貸物件

新規で事業を始められる方にとって、事務所を構える場所は重要なポイントでしょう。
しかし、物件を購入することができない経営者は事務所可の賃貸物件を探すことになります。
本記事では、事務所可の賃貸物件に関するルールや、物件探しのコツをご紹介します。

居住用の物件と事務所可物件の違い

居住用の物件と事務所可の物件には、下記のような違いがあります。

税金・税率

事務所として物件を利用すると、居住用として使うよりも固定資産税の税率は高くなり、管理会社や大家さんの負担が高くなります。
また、消費税については居住用の物件は非課税なのに対して、事務所可の物件は収入が発生するため課税対象となります。
そのため、居住用の物件を大家さんや管理会社の許可なく事務所として使用すると契約違反となるため、違約金の発生や強制退去を求められる可能性があります。

人の出入り

事務所可の物件は、居住用の物件よりも人の出入りが多くなる傾向にあります。
お客様や取引先など、さまざまな人が出入りすることにより近隣住民との間で騒音などのトラブルが起きる可能性があります。
そのような事態を避けるために、事務所用の物件では防音機能が設けられていたり居住用の物件よりも造りが強固になっていたりすることが多いです。

SOHO(事務所兼住宅)とは?

SOHO(事務所兼住宅)とは

SOHO(事務所兼住宅)とは、「small office/home office」を略した言葉で、自宅を小規模の事務所として活用するワークスタイルを指します。
近年ではコワーキングスペースやシェアオフィスなどを利用する方も増加傾向にありますが、自分が慣れた環境やプライバシーを重視した環境で仕事をしたい方に好まれます。
下記、SOHOを希望する傾向にある業種の一例です。

● デザイナー
● ライター
● イラストレーター
● プログラマー
● エンジニア

このように、デスクと一定の広さがあり、人と直接話すことが少ない業種にSOHOは好まれるようです。

SOHOの入居審査

SOHOの入居審査においては業種が重要視されます。
公序良俗に反していないということだけではなく、エステやサロンといった、人の出入りが多くなるような業種は近隣住民とのトラブルになりやすいため、断られることがあります。

事務所可物件とSOHOの違い

事務所可物件とSOHOには、下記のような違いがあります。

契約形式

事務所可物件は事業用として賃貸借契約を締結しますが、SOHOは居住用として賃貸借契約を締結します。
そのため、先述した税金や税率も異なります。

導入することができる機器や設備

事務所可物件の場合は居住用の物件では導入することができない、業務用コピー機やエステに使う機器などを導入することができる場合があります。
SOHOはあくまで居住用の物件であるため、大きな音や耐荷重量を超える重量の機器は導入することができません。

加入する保険

事務所可物件の場合は火災保険なども店舗や事務所など、法人向けのものに加入する必要があります。
SOHOの場合は居住用の物件と同じ保険に加入することができます。

事務所可物件を探すコツ

事務所可物件を探すコツ

こちらでは、事務所可物件を探すコツをご紹介します。

アクセスのしやすさ、立地条件

お客様や取引先が来訪することが考えられる事務所可の物件も居住用の物件と同様に、最寄り駅からの距離やアクセスのしやすさが重要です。
居住用の物件との違いは車の通りや騒音などをあまり考慮しなくても良いことが多いため、目につきやすい大通り沿いなどの方が適していると言えます。

看板の設置可否

業種によっては看板の設置が認められていることもあるため、より多くの人の目にとめることができます。
看板を利用して集客を行う場合、閑静な住宅街よりも大通り沿いやオフィス街など人通りの多い立地が好まれます。

住んでいる賃貸物件を事務所兼自宅にすることはできる?

結論として、住んでいる賃貸物件を事務所兼自宅として利用するためには、物件の所有者である大家さんや管理会社の許可が必要です。
大家さんや管理会社に確認する前に、賃貸借契約書を確認しましょう。
契約書に事務所として利用することはできないと記載されていれば利用することができず、記載がなければ相談内容次第では事務所として使うことができます。
ただし、先述の通り大家さんや管理会社の許可が必要なため、家賃の滞納や騒音トラブルを起こしていると信頼関係が構築できていないため、事務所として使用することができない可能性が高まってしまうでしょう。

事務所可物件の注意点

事務所可物件の注意点

事務所可物件には、下記のポイントに注意が必要です。

既存の入居者への配慮

事務所可物件を借りた際には、既存の入居者への配慮を忘れてはなりません。
事務所では電話やコピー機など、さまざまな音が発せられており、それらは意外と大きな音を出すものです。
そのため、防音対策などが十分に施されていない場合、事務所可物件でも近隣住民とトラブルになる可能性があります。

税負担

居住用の物件の場合、固定資産税と都市計画税で住宅用地の特例を受けることができますが、事務所可物件は事業用として賃貸借契約を締結するため、特例を受けることができないのです。

下記、居住用物件における面積と各種税率を表にしたものです。

面積 固定資産税 都市計画税
200平方メートル以下 評価額×1/6 評価額×1/3
200平方メートル超 評価額×1/3 評価額×2/3

また、事務所可物件への入居時に発生する家賃や敷金、礼金、保証料、更新料などは課税対象外ですが、退去時に返還される家賃、礼金、更新料は課税対象となります。

事務所可物件の手続き方法

事務所可物件の手続き方法

こちらでは、事務所可物件の手続き方法を、「はじめから事務所として利用したい場合」と「現在の居住地を事務所として使いたい場合」に分けてご紹介します。

初めから事務所として利用したい場合

初めから事務所として利用したい場合は居住用の物件と同様に、下記の手順で物件の引き渡しが行われます。

1. どんな賃貸物件に住みたいのかといった希望や条件を決めます。
2. 不動産会社に依頼して物件を探してもらい、実際にその物件を内覧します。
3. 希望する物件があれば入居申込と入居審査を行います。
4. 審査通過後、重要事項説明書と賃貸借契約書を確認します。
5. 上記を確認し、了承後に物件の鍵を受け取り、物件の引き渡しが行われます。

現在の居住地を事務所としても使いたい場合

現在の居住地を事務所としても使いたい場合は、下記の流れで手続きを行います。

1. 大家さんや不動産業者、管理組合に事務所として使いたい旨を相談します。
2. 事務所利用の許可がもらえた場合、居住形態なのか、法人契約が必要なのかといった契約形態を確認します。
3. 契約変更が必要な場合、指示された内容で契約変更を行うため、登記申請書や所有者の住民票といった書類を用意します。
4. それぞれの書類を、管轄の法務局へ提出します。
5. 登記完了後、現在の居住地を事務所として使うことができるようになります。

おわりに

本記事では、事務所可物件のルールや物件探しのコツをご紹介しました。
事務所可物件と居住用の物件では税金や税率、人の出入りなどが異なり、賃貸借契約は事業用として締結するため居住用の物件よりも高くなるだけではなく、消費税も課せられます。
また、事務所可物件にはお客様や取引先など、多くの人が訪れる可能性があるため、近隣住民に迷惑が掛からないように注意が必要です。
事務所可物件を借りる際には、業種によって人目に付きやすい場所だったり、看板が設置できたりする場所が選ばれる傾向にあります。
自社に合った場所や条件で事務所可物件を借りて、より多くの収益を上げましょう。

著者情報

賃貸住宅サービス

賃貸住宅サービス住まいのお役立ち情報編集部 株式会社グラート

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